いきなりですが、次の数字は英語で何と読むでしょう?
①O.39
もう1つ例をあげます。
② a:b = c:d
以上の数字や数式はありふれたものですが、これを英語で言うとなると、少し考え込んでしまいます。
基礎的な語彙ですが、すぐに答えられる人は少ないのではないでしょうか。
今回ご紹介するのは、数学の教科書です。ですが、心配はいりません。難しいものではありません。
日本でいえば小中学生であつかうような内容です。
英語を通して、数学を復習してみる。数学も英語も一緒に学べますから一石二鳥です。
数学がニガテ、という方にこそオススメしたい名著なのです。
Basic Mathematics
今回ご紹介するのは、The McGraw-Hill Companies の Schaum’s outline シリーズに収められている一冊です。
「Basic Mathematics with Applications to Science and Technology」という教科書です。
この本の詳しい内容に進むまえに、先ほどの問題の解答を片づけておきましょう。以下の解答は、この「Basic Mathematics」に収められているのです。
まずは①の0.39です。
これは、「thrty-nine hundredths」です。考え方としては、100分の39ということでしょう。
つぎは②。「a:b = c:d」です。
英語で「a is to b as c is to d」といいます。
言われてみればなるほどと思いますが、なかなか思いつかないのではないでしょうか。
このように「Basic Mathematics」は、数式の読み方もキチンと書かれています。まさにBasicからしっかりと理解を深めていくことができるわけです。
練習問題も豊富
さらに、練習問題も非常に多いのが「Basic Mathematics」の特徴です。もちろん解答付きです。
このSchaum’s outline シリーズに限りませんが、海外の教科書は練習問題が非常に充実しています。読者として独学者を想定しているためでしょうか。
冷静に考えれば、問題と解答がセットで掲載されているのは当然といえば当然ですが、日本の教科書、とくに語学の教科書などは意外に解答を載せていない場合があります。
その点、海外は教科書の名に恥じない構成となっています。
もっとも、誤植が少なからずあるのも海外の教科書の特徴ですが、それは日本でも同じこと。愛嬌というものです。誤植を完全に無くすことは不可能でしょう。
「Basic Mathematics」の構成
本書は22のchapterに分かれています。
- Decimal fraction (少数)
- Measurement and Scientific notation (測定と科学少数点法)
- Common fraction (常分数)
- Percentage (割合)
- Essentials of Algebra (代数学の基本)
- Ratio and Proportion (比率と比例)
- Linear equations (線形方程式)
- Exponents and Radicals (指数と根)
- Logarithms (対数)
- Quadratic equations and Square roots (二次方程式と平方根)
- Essentials of Plane geometry (平面幾何学)
- Solid figures (立体形)
- Trigonometric functions (三角関数)
- Solution of Triangles (三角形の解法)
- Vectors (ベクトル)
- Radian measure (弧度法)
- Conic sections (円錐曲線)
- Numbering systems (進法)
- Arithmetic operations in a computer (コンピューターにおける演算)
- Counting methods (計数方法)
- Probability and Odds (確率とオッズ)
- Statistics (統計)
こうやって見ていけばわかりますが、誰しも学校で習った分野ばかりであることに気づきます。
それほど難しい分野は対象としていません。極限も微分積分もありませんしね。
だからこそ、この本がオススメなのです。慣れない英語で難しい数学をやったところで身に付きません。
相当の数学マニアなら別ですが、あくまで数学をもう一度復習したい方にはこの「Basic Mathematics」がベターだと断言します。英語の勉強にもなりますし、いいことづくめです。
ぜひ、本書でもう一度数学に再入門しみてください。
まとめ
数学がニガテという方は多いでしょう。かくいう私もその一人です。おそらくここまで読んでくれる人はいないでしょうから、少しボヤいてみたいと思います。
数学を苦手とする人々が少なくないのは、必ずしも個々の能力の問題だけではありません。数学の方にも問題があります。
とくに日本の数学教育に責めを負わせたいところです。
まるでいいがかりのようですが、少しガマンしてお付き合いいただきたい、とはいうものの、どうせ読む人もいないでしょうから遠慮なくいわせていただく。
まず数学用語がおかしい。
「無理数」なんて誰が訳したのか、まったくの誤訳です。
もともとは「irrational number」でしょう。この「irrational」は「無理」すなわち「理が無い」という意味ではなく、「比率で表わせない」という意味でしょう。
「rational」に否定の接頭辞「ir-」がついているから「無理」と訳したのかもしれませんが、この言葉をもって考えろというのがそもそも「無理」というものです。
もう少し数学用語に気を配ってくれれば、数学人口も増えるのではないでしょうか。もう少し丁寧に用語の説明に時間を費やしてもいいはずです。
計算方法はわかっても何をやっているか理解していない生徒を大量生産するよりはましでしょう。
その点、洋書は日本の数学書よりも親切に感じます。
日本語のものでは 隈部正博「初歩からの数学」がもっとも優れた入門書であると感じましたが、その本についてはまたの機会にご紹介しましょう。
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