韓国、この不可解なるもの 古田博司「韓国・韓国人の品性」を読む

書評

韓国は「近くて遠い隣人」とよく言われます。歴史問題を中心に、日本と韓国は衝突を繰り返してきたといえます。過去の植民地支配、慰安婦問題、領土問題、両国間に存在する難問は容易に解決がつきそうにありません。韓国は私たち日本人にとって少々「厄介」な存在なのです。多くの日本人がそのことを感じているのではないでしょうか。

日本人にとって必要なのは、韓国・北朝鮮についての知識を深めることです。

彼らはどのような人々であり、どのような行動パターンをもっているのか、それを明らかにすることが急務です。「彼を知り、己を知らば百戦あやうからず」です。

今回ご紹介するのは 古田博司著「韓国・韓国人の品性」です。さっそく内容をご紹介しましょう。

ただの「嫌韓本」ではない

本書をよくある「嫌韓本」と同一視してはいけません。著者の古田氏はもともとは北朝鮮の専門家で、朝鮮半島研究を40年も続けている大ベテランです。いまなお忘れがたい名著「朝鮮半島を読み解く」の著者でもあります。

多くの「嫌韓本」の読後感が不快であるのと違い、朝鮮半島に生きる人々に対する愛情にあふれた古田氏の著作は読んでいて気持ちのいいものです。

もちろん、韓国人や北朝鮮人をほめちぎっているわけではありません。むしろこっぴどく批判しています。彼らの欠点を容赦なく指摘しているのです。相手の欠点を語りたいというのもひとつの愛情です。

実際、古田氏の韓国人の悪口を読んで読者は思わず笑ってしまうと思いますが、韓国人に対して嫌悪感を感じるどころか、むしろ可愛らしささえ感じるはずです。古田氏の文章の底流に愛情があるからでしょう。

古田氏の著作を読めば、より一層朝鮮半島について興味を持つようになると思います。では、古田氏が紹介する韓国人の姿について少し見ていきましょう。

歴史共同研究に見る韓国人のメンタリティ

日韓の学者が集まって歴史研究を通じて親交を深める、というのはタテマエで、実際は古田氏によれば「教科書戦争とでもいうべきしろもの」なのが「日韓歴史共同研究」です。

これに日本代表として参加した古田氏の話がまたおもしろい。

古田氏はこれは「外交」なのだから、必要なのは「必勝の信念あるのみ」といいます。

会議とは名ばかり、怒鳴りあいの共同研究です。古田氏には申し訳ないですが、そのやりとりを読んでいるとつい笑ってしまいます。

日本側委員が事前に50冊から100冊ほどの日韓の教科書を読んで会議にのぞむなか、韓国の委員は4冊ほどの教科書を読んできただけだったといいます。

古田氏がそのことについて詰問したときの韓国側委員のやりとりがおかしい。引用しましょう。

会議の席は、テーブルを挟んでこちら側が日本側で、向こう側が韓国側とそれぞれ二列になっていたが、発表した韓国の先生の後ろの先生が、その先生をつついて、「おい、十冊くらいって言えよ」って言ったのが聞こえてきた。そうしたらその先生が、「みんなで四冊でいいって決めたじゃないか」と言っている(笑)

古田博司 「韓国・韓国人の品性」 p51

まるでお笑いコントです。古田氏は韓国人を評して「嘘つきだけど、正直」と言っています。日本人はどうでしょう。

日本人は嘘はつかない。しかし不正直である。

同上 p46

だから韓国人は、

結局不正直な我々に負けてしまう。

同上 p46

嘘はつかないが不正直、というのはいい得て妙です。

そういわれてみれば日本人にはそういう面があると思います。

と同時に、対照的な韓国人の性質もイメージしやすいのです。

対照的な両者だからこそ、お互いの理解はそう簡単なものではありません。

この点を見ないで親善だの友好だのお題目を唱えても、ただのスローガンにしかならないでしょう。

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なぜ韓国人は反日になるのか

韓国が反日的な傾向をもつ国家であるというのは多くの日本人が理解するようになってきました。なぜ韓国は反日におちいってしまうのでしょうか。これはきわめて難しい問題ですが、古田氏によれば、韓国という国家の「正統性」に関係があるといいます。

日本では「正統性」という概念が問題になることはありませんが、韓国においては非常に重要な言葉なのです。具体的には、朝鮮半島の二つの国家、北朝鮮と韓国のどちらが「正統性」をもっているか、そういう問題を惹起するからです。

国民の上に権力をおよぼし、権威の源となる正統的な国家はどちらなのか、という意識が働くのでしょう。

これは日本では理解しにくい問題ですが、この「正統性」を担保するストーリーとして「反日」が必要になるのです。

韓国という国家は、日本の敗戦によって誕生した国家です。日本と独立戦争を戦って自由を勝ち取ったというストーリーがありません。たなぼた式に自由と独立を得ただけです。

北朝鮮もその点は同じですが、それでも北朝鮮には金日成が日本軍と戦ったというストーリーがあります。だいぶ誇張されたストーリーですので眉唾ものですが、それでも日本と戦った経歴があるのは事実です。

そのため、韓国内でも国家としての正統性は北朝鮮にあると考える知識人が少なくないようで、古田氏によれば、1990年代に北朝鮮の思想工作が韓国内の大学に浸透し、その影響を受けた人たちが社会の上層部にあらわれはじめ、文在寅政権に親北朝鮮派が多いのもそういういきさつがあるからとのことです。

「正統性」という観点では韓国は北朝鮮に引け目があるのでしょう。異常に反日にこだわるのは、国家の正統性を担保するためなのです。その結果、日本に対する独立運動を過大評価し、伊藤博文を暗殺したテロリストを賞賛し、過去の歴史を自分の都合のいいように改変する。そういう常軌を逸した行為がまかり通るようになってしまいます。

しかし、これはある程度やむを得ないことかもしれません。朝鮮半島が分断国家であり続けるかぎり、日本は敵役を引き受けていくしかありません。個人の思いでどうにかなるものでもないのです。

韓国人の行動パターン「イガンヂル」とは

韓国人には「イガンヂル」(離間する)という行動パターンがあるそうです。

「イガンヂル」とは、特定の人物を孤立させるために告げ口をしてまわることだそうです。日本人がもっとも嫌う行為のひとつといえるでしょう。日本人に限らず、こんな行為を好む人はいないでしょう。

ところが、韓国では「イガンヂル」が当たり前だと古田氏はいいます。朴槿恵前大統領が日本の悪口を各国に言いふらした外交などはその典型的な例として紹介されます。

韓国で生活したことのない私としてはこんな行為が実際に行われているのかどうか判断はできません。ただ、この「イガンヂル」という概念によって朴槿恵の行動が理解しやすくなるのは確かです。

韓国内で当然の行為を国外でもやってしまったのが朴槿恵の外交といえるでしょう。

「韓国人には「卑劣」ということが理解できない。」と古田氏はいいます。「卑劣」という概念がないということでしょうか。

「卑劣」に対応する概念がない、あるいは希薄なために他国人に「卑劣」と見られているのに気づけない。

なぜそうなのか、古田氏は朝鮮半島の歴史をひもといて合理的な理由を見出そうとしていますが、詳細はぜひ本書を手に取って確かめてほしいと思います。

韓国とはどのように付き合っていくべきか

韓国とどのように付き合っていくべきか、これは日本人にとって永遠の課題です。

古田氏の本を読めば、それが非常に難しいことを再認識します。

ただ、付き合うといってもその方法はいろいろあるでしょう。

適度な距離をたもったままの付き合いだってあります。現に私たちは日常で他人とそういう付き合い方をしています。

韓国とだけ熱い共感をもって付き合わねばならない理由はありません。

お互いのことをよく知るようになれば、おのずと付き合い方も決まってくるはずです。

古田氏は「教えず、助けず、かかわらず」という「非韓三原則」が「最も良策」だといいます。

その判断はそれぞれの読者がするべきものです。まずは古田氏の著作を読んで見なければ始まりません。一読をオススメする所以です。

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