私の読書論 結論「好きなように読めばいい」

書評

読書は最高の娯楽です。あえて言いますが、これ以上に楽しいものはありません。

こんなことを言うと叱られそうですが、酒・博打・女、そんなものより読書読書です。

今回は読書について少しムダ話をしようと思います。

読書好きなら共感していただける部分も少しはあるのではないでしょうか。

短いエッセイ風のものですので、どうぞ最後までお付き合いください。

一冊を最後まで読むべきか、併読するべきか

読書で悩むのがこの点です。

結論としては、最後まで読み通すのにこだわらず、何冊か併読するのがおススメです。

なぜなら、併読することで視野が広がり、一冊一冊の理解もより広くより深くなっていくからです。さまざまな視点の相乗効果です。

一冊の本を最後まで読むことにこだわるのは効率の点からもおススメできません。

もし、今読んでいる本がつまらない内容だとしたら、読書そのものが苦痛となり、貴重な時間をムダにしてしまうからです。

実は、私も若いころは本は最後まで読み通すものだという固定観念があり、その読書法を実践していたのですが、興味が持てない本に当たったときが地獄なのです。

よく覚えているのは ランペドゥーサの「山猫」という小説です。

石原慎太郎氏が面白かったという感想をどこかで書いていて興味をもったのですが、いざ読んでみるとこれがつまらない。

まったく興がわかないまま、それでもなんとか読もうとしましたが、面白くないからページも進みません。

結局、途中でやめてしまったわけですが、このときの経験から最後まで読み通すという習慣を捨てました。

誤解のないように補足しておくと、ランペドゥーサの「山猫」をいま読んだら感想は違ったものになるかもしれませんが、若いころの私にとっては興味が持てない対象だったというだけのことです。

この時以来、私の読書スタイルは変わりました。

本は最後まで読み通すべき、という固定観念になぜとらわれたのか、いつそう思うようになったのか、それはいまでもわかりませんが、もしそのように考えている方がいれば、そこまで思いつめることはないですよ、というのが私の偽らざる感想です。

芋づる式名著探求法

読書するならいい本を読みたいものです。

しかし、名著を探し当てるのは意外にむずかしいものです。

いまではAmazonのレヴューなど参考にできますから昔よりは楽ですが、それでも隠れた名著というのがあるものです。

この隠れた名著を探すには、本の目利きに聞くのが一番です。

ここでご紹介したいのは呉智英氏です。

私は呉氏のファンで、正確な批評眼と、ときおりクスッとさせるウィットが大変好きなのです。

と同時に、呉氏はすさまじい読書家でもありますから本のすぐれた目利きなのです。

呉氏のエッセイで言及されている本はなるべく目を通すようにしていますが、これまでハズレだったことはありません。

つまり、私は呉氏のエッセイで目にした本を芋づる式に読んでいるわけです。

足立券一の「やちまた」や、松下竜一の「ルイズ ー父に貰いし名は」なども呉氏の本で知りました。

こういった名著はAmazonのおススメにはあまり出てきませんので、やはり本の専門家に聞くのが一番です。

「餅は餅屋」というわけです。

どんな作家でもいいですが、自分が好きな作家が紹介している本に目を通す、そして、その本で紹介している本にもまた目を通す。

この芋づる式で本の世界を広げていくのがおススメです。

速読は重要か

できるものなら速読してみたい、とういうのが本音です。

読書の時間を大幅に軽減できるでしょうから。

ただし、速読で失われるものについては指摘しておきたいと思います。

それは文章のリズムです。

かつて本は音読するものでした。

そのため、書き手は文章のリズムに非常に気を使ったのです。

福沢諭吉の著作などはいい見本です。非常にリズミカルな文章で、本を読むという行為そのものが楽しくなる、そんな文章です。

また、旧字旧かなの本などは視覚的にも楽しいものです。

漢字のデザインといいましょうか、きっちりした文字で埋め尽くされたページを速読でペラペラとめくって終わりだなんて寂しすぎます。

戦前の作家たちはそういう点にも気を配ったのでしょうか、芥川龍之介の小説などは紙面を見ているのも楽しい、そういう印象を受けます。

もちろん、速読できるならできるに越したことはありません。

しかし、速読にふさわしいのは、ビジネス書や自己啓発などの一回読んで終わりといったタイプのものだと思います。

ときに速読も利用しつつ、読書を楽しむというのが理想的でしょう。

紙で読むか、電子で読むか

紙か電子書籍か、これは難しい問題です。

どちらにも利点はある、といいたいところですが、実際は紙が主流で電子書籍にも利点はある、といったほうが正確です。

実際、よく読むのは紙という媒体で、電子書籍は紙で手に入らない本を読みたいときか、旅行中か、その用途は限られます。

ただ、これは私個人の話ですから一般的とは言えないかもしれません。

マンガなどは電子書籍で読む、という人も増えているようです。

私もKindleを利用しはじめたころは紙媒体は駆逐されてしまうのではないか、という感想ももちましたが、結局読んでいるのは紙媒体がほとんでです。

おそらく長年の習慣が原因でしょう。

電子書籍で読んでいる若い人は年齢を重ねても電子書籍を使うでしょうから、やがては紙も市場から退場していくかもしれませんね。

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