ロシア語を学ぶならこれがおススメ

書評

ロシア語を学ぶうえで使えるテキストを紹介していきます。

ロシア語について何も知らない、という初心者でも大丈夫なものを厳選しました。

いずれも私自身使ってみて、いいな、と感じたテキストだけに限定しています。

ぜひ参考にしてください。

ロシア語の特徴

ロシア語はインド・ヨーロッパ語族に属する言語ですが、ほかのヨーロッパ諸語とは違い、キリール文字という独自の文字を使用しています。

まずはこのキリール文字に慣れることからスタートです。

全部で33文字ですから、膨大な漢字をマスターしている私たち日本人にとってはどうってことはありません。1週間か2週間もすれば見慣れます。

優秀な人なら2,3日でマスターしてしまうかもしれません。ちなみに、私はあまり優秀ではないので1,2週間はかかりました。

それほど心配したものではありません。慣れの問題です。

ロシア語の特徴として思いつくままいくつか挙げてみれば、冠詞がない、名詞には男性・女性・中性という文法上の性(ジェンダー)がある、名詞・形容詞は格変化する、動詞は時制・法などによって語形変化する、などでしょうか。

ヨーロッパ諸語を学んだ経験がある方なら、それほど抵抗なくロシア語の世界に入っていけると思います。

動詞の変化も古典ギリシャ語ほど複雑でもないですし。

まずは軽い気持ちでロシア語に接してみることをお勧めします。

和久利誓一「ロシヤ語四週間」

「四週間」シリーズの一冊です。読みやすさという点では「四週間」シリーズのなかでも群を抜いています。

文字の詳細な説明からスタートしますから、初心者でも安心して学習していくことができます。

「四週間」シリーズの特徴である豊富な練習問題はこのテキストでも健在です。もちろん解答はすべて巻末に掲載されています。

ただ、初版が昭和36年というだけあって、ロシア語の語彙には時代が感じられます。

そのまま現代で使えるかどうかとなると疑問ですが、ひとつの歴史的知識として貴重なものといえるでしょう。


時代的な制約はあるものの、このテキストはロシア語の骨格を理解するには非常にすぐれたものです。

練習問題の反復によってロシア語を肌で実感してください。

城田俊「現代ロシア語文法」

私見では、もっとも初心者向けと思われるテキストがこちらです。

文字の説明から始めるのは「四週間」シリーズと変わりませんが、この「現代ロシア語文法」のほうが懇切丁寧に感じます。

「本書の構成」にも述べられているとおり、このテキストは「全くロシア語を知らない人が高度の読解力・作文力・会話力の基礎を習得することを目的」としています。

この言葉通り、練習問題も豊富であり、もちろん解答も巻末にありますから独学者でも安心して学習を進められます。

長文読解に乏しいところが欠点といえば欠点ですが、いまでもロシア語について疑問をもった点は本書で確認するようにしています。

ただの学習書というだけでなく、何度も参照すべき優れた文法書といえるでしょう。

匹田剛「これならわかるロシア語文法」

非常に評価が高いテキストです。「入門から上級まで」とタイトルにもありますが、看板に偽りなしです。

一番最初の「第0章」は「文法学習を始める前に」というタイトルとなっていて3つの事項の説明がなされますが、これがきわめて重要です。

それは、

1、正書法の規則
2、母音の硬軟
3、子音交代

の3つなのですが、これらを頭に入れておくとロシア語の学習がきわめてスムーズになります。

こんな重要なことなら、もっと早く知りたかったと思いますが、そこは独学者の悲しいところでしょう。

授業では当たり前に習う部分の取りこぼしが多いのが独学者の常です。

とにかく、ロシア語の文法書として優れている点は強調しておきます。

ただし、まったくの初心者にはおススメしません。

このテキストは、少なくともキリール文字に習熟している前提で話が進んでいくからです。

キリール文字の学習から始めたい方は、別な参考書が必要になります。

その点は注意が必要でしょう。

「The New Penguin Russian Course」

英語ができる方なら、こちらのテキストもおススメです。

英語で書かれたロシア語の文法書は多いですが、この「The New Penguin Russian Course」はもっともすぐれたもののひとつです。

キリール文字の説明からスタートするのは日本の文法書と変わりません。全30章で構成されており、1章ごとに文法項目の説明があり、章末には練習問題があるのも日本の文法書と同じです。もちろん解答も巻末にあります。

また、洋書の文法書に多いパターンですが、巻末にはこのテキストで使用されているロシア語の単語リストが載っています。

つまり、本書は辞書なしでも学べるスタイルになっているのです。これは学習者にとってありがたいことです。

本のスタイルも日本の文法書とかわりませんし、説明の英語もシンプルなものですから英語を苦手とする人でもとっつきやすいはずです。

いままでご紹介した文法書と比較しても決して見劣りのしないすばらしい出来です。

購入しておいて損はないと断言します。

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