ブロガーなら必須! 「記者ハンドブック」のおススメ

書評

今回ご紹介するのは、共同通信社「記者ハンドブック」です。

非常に有名な本ですので、ことあらためて紹介するのも気がひけるほどの名著です。

ブロガーなら必須のツールですし、仕事で文章を書く人なら持っていて絶対に損はありません。ビジネス文書作成のうえでも非常に参考になります。

なんといっても新聞記事の文章表記についてのイロハが本書にはつまっています。私も常に座右において事あるごとに参照しています。私の場合は暴走しがちなので、本書のルールを逸脱してしまうことも多いのですが。

とにかく多くの方におススメしたい名著です。どんな内容なのか、簡単に見ていきましょう。

本書の構成

本書の構成を見ていきましょう。大見出しをひろってみます。

・新聞漢字・仮名遣い
・書き方の基本
・用字用語集
・記事のフォーム
・資料編1
・資料編2(巻末より)

本書は頭から読まなければいけないということはありません。実用書ですから、必要なところから読み進めればOKです。

資料編というのは、全国の市名や紛らわしい地名、登録商標と言い換えや年号・西暦対照表、計量単位の使い方など、使える情報が豊富に収められています。

資料集としても重宝します。

ですが、「記者ハンドブック」の本当に使える部分は他にあります。そのさわりだけですが、以下に紹介していきましょう。

「ぢ」と「じ」、「づ」と「ず」の使い分け

「ぢ」と「じ」、「づ」と「ず」の使い分けは難しい問題です。私も完璧に使い分けられる自信はありません。やはり「記者ハンドブック」を参照して間違いがないかどうかチェックしています。

さまざまな用例が掲載されていますので、眺めているだけでも楽しいものです。一例を引用しましょう。

「ぢ」を使用するもの

いれぢえ(入れ知恵)
こぢんまり
そこぢから(底力)
ちぢこまる(縮こまる)
はなぢ(鼻血)


上記のような単語はわかりやすい例だと思います。漢字を見ても「ぢ」を使う理由がわかるというものです。しかし、以下の単語はどうでしょう。

「じ」を使用するもの

いくじない(意気地ない)
いこじ(意固地)
きじ(生地)
きぬじ(絹地)
じしん(地震)

これらなどは漢字から連想すると、「じ」を使う必然性が見いだせない例ではないでしょうか。やはり本書で確認するのが無難というものでしょう。


「づ」と「ず」の使い分けもいくつか引用しておきましょう。

「づ」を使用するもの

あいそづかし(愛想尽かし)
いきづかい(息遣い)
きづく(気付く)
こころづくし(心尽くし)
すしづめ(すし詰め)

「ず」を使用するもの

あずける(預ける)
おとずれる(訪れる)
さしず(指図)
つまずく
ひざまずく
わずらわしい(煩わしい)

「ひざまずく」などは「ひざ」が「つく」のでしょうから、「ひざまづく」と書きそうなものですが、「ひざまずく」と書くのが正しいようです。やはりこういった用字用語集が必須なのが分かっていただけると思います。

どれが正しい?「1か月」「1カ月」「1ヶ月」

これもどれが正しい表記なのか悩む例のひとつですが、「記者ハンドブック」を参照すればすぐに解決です。

正しいのは「1カ月」です。

「カ」は大文字です。「ヶ」を使用している人も多いですが、新聞での表記は「カ」です。

カタカナが正解なんですね。ただし、「注」にもありますが、「三が日」や「百か日」はひらがな書きのようです。


これも理由はわかりません。慣習なのでしょう。

文章についての心得

本書の最初の方に「記事の書き方」という文章があり、たった2ページなので読み飛ばしてしまいがちですが、よく読むと非常に参考になることが書いてあります。たとえば、

記事では、結論を先に盛り込むなど、重要な要素から順に書いていく「逆三角形」の文体とするのが大前提となる。

p8

これは重要な点だと思います。記事だけでなく、日常での口頭による情報伝達でも結論から話すのがもっとも効果的です。最後に結論をもってくると、途中で聞いている人は飽きてしまうからです。


また、文章についての10項目を掲載していますが、まさに文章の「十戒」ともいえる重要な指摘です。つぎの項目などは重要な指摘です。

7 主語と述語はなるべく近づける。1文中にいくつもの主語、述語を盛り込むと分かりにくい。なるべく2文、3文に分ける。

p9

もうひとつ引用します。

8 修飾語はあまり長くしない。形容詞、副詞は、その係る言葉のすぐ前に持ってくる。

p9

こういった点を意識するだけでも、文章はかなりすっきりします。記事は「正確に、早く」「分かりやすく」「コンパクト」を心がけるべきだからです。

ブログを書く方だけでなく、仕事で、あるいは私生活で文章を書く機会を持つ方に本書を強くおススメする理由がここにあります。心強い相棒として、長くお手元においてほしいと強く思います。

記者ハンドブック 第13版 新聞用字用語集
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